外壁・屋根用の塗料には、大きく分けて水性塗料、油性塗料の2種類があります。
水性塗料と油性塗料は何が違うのでしょうか?
外壁や屋根の塗り替えを予定されていて、どの塗料を選べばよいか検討されている方は、水性塗料と油性塗料の違いについて疑問に思われる方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、『外壁塗装のプロ』が水性塗料と油性塗料の違い、それぞれのメリット・デメリットについて解説します。
この記事は、こんな人におすすめ!
この記事は、こんな方に読んで貰いたい記事です。
- 外壁や屋根の塗り替えを検討されている方
- 塗り替えの際にどの塗料を選んで良いか迷っている方
- 水性塗料・油性塗料の違い、そのメリット・デメリットについて知りたい方
- 外壁・屋根の塗り替えに失敗したくない方
水性塗料と油性塗料の違いとは?
それでは水性塗料と油性塗料の違いについて解説していきます。
水性塗料でも油性塗料でも、色のもとになる「顔料」や塗膜のもとになる「樹脂」などの原料については、入っている素材は基本的に同じです。
その違いは顔料や樹脂を溶かす働きをしている「溶剤」の種類の違いです。
塗料の原料である、顔料や樹脂は固形の物質ですので、そのままでは外壁や屋根に塗ることはできません。液体の溶剤で溶かし、塗れる状態まで液化させる必要があります。
油性塗料に使われている溶剤は、シンナーなどの「有機溶剤」と呼ばれるものです。
これに対して、水性塗料の溶剤は「水」です。
溶剤が水なのか、シンナーなどの有機溶剤なのか、これが水性塗料と油性塗料の違いとなります。
塗料の主な材料
- 顔料:色のもとになる材料。
- 樹脂:塗膜のもとになる材料。
- 溶剤:顔料・樹脂などを溶かすための溶液。
水性塗料・油性塗料の違い
- 水性塗料:素材を溶かしている溶剤が水
- 油性塗料:素材を溶かしている溶剤がシンナーなどの有機溶剤
水性塗料の特徴
前述しましたように、水性塗料はシンナーなどの有機溶剤を使わず水を使用している塗料です。
油性塗料では、シンナーなどの有機溶剤による身体・健康への悪影響や環境汚染・シックハウスなどが心配されます。
一方、水性塗料は、溶剤に水を使用しているため、健康への不安も少なく、環境汚染対策やシックハウス対策につながるとして注目され人気になっている塗料です。
また、塗料が乾燥するときは、溶剤が揮発(蒸発)しますので、油性塗料では、シンナーなどの有機溶剤が揮発し強い臭いがします。
一方、水性塗料は水が蒸発するのでほぼ臭いがありません。
水性塗料は外壁や屋根に使っても雨水で溶けないのか?
水性塗料は、素材に水が使われているので雨水で溶けてしまうのではないか?と疑問に思われる方もいるかもしれませんが、そういった心配はいりません。
水性塗料は、乾燥前の完全に硬化する前の状態では雨水を浴びると溶けて流れてしまいますが、十分に乾燥が進み完全に塗料が硬化すると水に溶けなくなる性質があります。
水性塗料に含まれる水分は乾燥工程で揮発して無くなってしまうからです。
水性塗料が完全に乾燥して硬化すると、塗膜の中に残るのは樹脂と顔料のみとなり、水分は蒸発して無くなってしまいます。
ですので、完全に乾燥して硬化してしまえば、いくら強い雨が降っても塗料が溶けて流れてしまうという心配はありません。
水性塗料の特徴
溶剤に水を使用しているため、臭いがなく・健康不安、環境汚染などへの心配が少ない
油性塗料の特徴
油性塗料にはシンナーなどの有機溶剤が含まれているため、揮発時の臭いが強く、水性塗料と比べると人体や環境に影響を与えるリスクがあるとされています。
では、なぜ悪影響があるかもしれない有機溶剤が必要なのでしょうか。
それは、水では綺麗で強い塗膜が作れず、耐久性の高い塗料を作ることが難いからです。
塗料の耐久性を高めるために有機溶剤が必要になります。有機溶剤を使用することで、強く耐久性の高い塗膜を作ることが出来るのです。
油性塗料の特徴
- 臭いが強く・人体や環境へのリスクがある
- 耐久性が高く強い塗膜を作ることができる
水性塗料と油性塗料のメリット・デメリットとは?
ここからは、水性塗料と油性塗料のメリット・デメリットについて更に詳しく見ていきましょう。
油性塗料のメリット
油性塗料のメリットを見ていきましょう。油性塗料には、以下のようなメリットがあります。
耐久性が高い
油性塗料にはシンナーなどの有機溶剤が含まれていますので、強く強靭で劣化し難い塗膜を作ることが出来ます。
塗料に含まれている樹脂の種類によっても耐用年数が大きく異なりますが、油性塗料で塗装をすることで、外壁・屋根をしっかりと守れる耐久性の高い塗装を行うことができます。
雨水に強く雨漏りし難い
塗膜の耐久性が高く劣化がしにくいので、雨水が染み込み難い、雨漏りし難い外壁・屋根塗装をすることが出来ます。
屋根や外壁など、雨水にさらされやすい個所の塗装に最適な塗料だと言えます。
ツヤ・光沢を出しやすい
有機溶剤を含んでいると、独特で綺麗な光沢が出ます。
綺麗なツヤと光沢を出したいなら、油性塗料が適しています。
乾燥が早い
油性塗料は、水性塗料よりも含まれている水分が少なく乾燥が早いため、工期を短縮させることができます。
油性塗料のメリット
- 耐久性が高い
- 雨に強い
- ツヤと光沢が出る
- 乾燥が早い
油性塗料のデメリット
臭いがキツイ
油性塗料の最大のデメリットは、臭いです。
施工中にシンナーの臭いで気分が悪くなるというお客様も少なくなく、ご近所から苦情が発生してしまうこともあります。
室内で使用し、溶剤中毒になってしまうような事例もあります。
価格が高い
有機溶剤が多く含まれている分、塗料の価格は水性塗料と比べ割高になります。
保管に注意が必要
シンナーなど可燃性の有機溶剤が含まれていますので、引火して火災になってしまう危険性があり、保管時には火気などの注意が必要となります。
扱いにくい
塗料の希釈、刷毛などの道具の洗浄には専用の薄め液が必要となりますので、準備や後片付けに手間が掛かります。
油性塗料のデメリット
- 臭いがキツイ
- 価格が高い
- 保管が難しい
- 扱いにくい
臭いが少ない油性塗料「弱溶剤塗料」
近年、塗料メーカーでは、臭いが少なく環境にやさしい油性塗料の開発が進んでいます。
油性塗料には溶剤塗料と弱溶剤塗料の二種類があり、弱溶剤は臭いが少ない塗料です。
溶剤塗料も水性塗料よりは、少し臭いがしますが、水性塗料よりも耐久性に優れており、仕上がりも水性塗料よりも美しく仕上がります。
弱溶剤塗料は、油性塗料と水性塗料の中間の塗料と言えます。
水性塗料のメリット
続いて、水性塗料のメリットとデメリットについて見ていきましょう。
臭いが少なく、人体や環境に優しい
水性塗料は、シンナーなどの有機溶剤を使用せず、水が使用されています。
そのため、塗料独特の嫌な臭いを発することがなく、室内の塗装に使用することもできます
塗料の成分独特の臭いは多少ありますが、シンナーとは違って人体にリスクのある成分による臭いではありません。
健康や環境へのリスクが少なく、臭いでご近所にご迷惑をかける心配がない、扱いやすい塗料といえます。
価格が安い
水性塗料は、シンナーなどの有機溶剤が含まれていませんので、塗料の値段が油性塗料よりも割安です。
塗装工事のコストを下げることができる塗料です。
保管が簡単
油性塗料の場合、シンナーなど可燃性の有機溶剤が含まれていますので、火気に注意して保管しなければいけません。
一方、水性塗料は主成分が水ですので、引火する危険性が低く、管理場所や施工場所などでの火事の心配が少ないと言えます。
施工業者にとって保管や管理がしやすい塗料になります。
室内の塗装にも使用できる
シンナーなどの溶剤を含んでいませんので、換気が出来ない狭い室内で塗装をしても問題ありません。
水性塗料のメリット
- 臭いが少ない
- 値段が安い
- 保管が簡単
- 屋内の塗装にも使用できる
水性塗料のデメリット
油性塗料より耐久性が短い
有機溶剤が含まれていない分、一般的には強い塗膜を作る点が油性塗料より劣るとされています。
しかし、近年は油性塗料とそん色ない耐久性を誇る水性塗料も開発され、そのデメリットも解消されてきました。
塗装に適さない素材がある
水性塗料は、窯業系サイディング、モルタルなどの素材とは相性が良くよく馴染みます。
しかし、アルミ、ステンレスなど金属部分には密着しにくい性質があるため、金属屋根の下塗りや、雨樋などの塗装には向きません。
水性塗料と相性が悪い素材でも、下地をサンドペーパーで磨く、油性塗料で下塗りをするといった方法で塗装することもできますが知識や経験、技術のある業者が施工する必要があります。
ツヤが落ちるのが早い
有機溶剤を含んでいないので、塗膜のツヤが落ちやすい傾向にあります。
ツヤ有りの塗料で塗装しても、数年後にはツヤがある程度落ちてしまう可能性が高くなります。
低温での施工がしにくい
水性ですので、気温が低いと硬化し難くなってしまいます。
気温が低い時期は工期が長くなってしまう可能性があります。
冬場に水性塗料を使用する場合は、暖かく晴れている時期を選んで塗装したほうが良いでしょう。
また、気温が5度以下だと水性塗料は膜が出来ずらく、乾燥も遅くなり施工できません。寒冷地の冬期には、水性塗料は採用しないほうが良いでしょう。
塗装工程中に雨が降ると塗料が流れてしまう
水性塗料は、完全に硬化するまでは水に弱い傾向があるため、塗装工程中に雨が降ると塗装した塗料が流れてしまうことがあります。
また、乾燥中に湿気があると塗りムラ・色ムラが出やすくなります。
天候をしっかり見極めて塗装作業を行わなければいけないので、職人の経験や知識、技術が必要な塗料と言えます。
しかし、最近は、多少雨が降っていても塗装することが可能な水性塗料も増えています。
例えば、関西ペイントの「アレスダイナミックフィラー」は、これまで難しいとされてきた湿潤状態におかれた壁面や高湿度の環境においても塗装可能で、雨中でも塗装適性を有する水性塗料です。
多少の雨に当たっても、高い湿度下の環境でもきれいに塗装出来る素晴らしい水性塗料です。
水性塗料のデメリット
- 耐久性が劣る
- 塗装に適さない素材がある
- ツヤ落ちが早い
- 雨の日や低温では塗装できない
油性塗料並みの耐久性を持つ水性塗料
以前は、外壁や屋根には耐久性の高い油性塗料を使用し水性塗料は使用されないケースがほとんどでしたが、近年は外壁・屋根でも使用できる耐久性の高い塗膜を作ることが出来る水性塗料も開発販売されています。
油性塗料と比べてもそん色ない耐久性を持ち、外壁や屋根にも安心して水性塗料を使用することができるようになりました。
臭いや健康・環境へのリスクを考えると水性塗料は理想的な塗料と言えます。
シンナーのような化学物質の臭いが苦手というお客様や近所に迷惑がかかるといったことを気にされるお客様には、水性塗料の使用をおすすめします。
DIYでは水性塗料がおすすめ
DIYで塗装工事を行う場合には、水性塗料がおすすめです。
その理由をご説明していきましょう。
扱いや後片付けが簡単
水性塗料は可燃性の有機溶剤を使用していないため、火気のよる事故の恐れがなく、安心して使うことが出来ます。
油性塗料の場合は、塗装作業後に薄め液を使用して刷毛や道具の洗浄を行わないと塗料が落ちませんが、水性塗料は洗浄も簡単です。
嫌な臭いがしない
有機溶剤が含まれていませんので、嫌な臭いがなく、室内の塗装工事にも使用することができます。
衣類や手に付いても落としやすい
油性塗料は、手や服に塗料がついてしまうと簡単に落とすことはできませんが、水性塗料は、もし付着しても落としやすいのがメリットです。
手に付着した場合は、手を水で洗えば綺麗に落ちますし、衣服に付いた場合は、中性洗剤で落とすことが出来ます。
このように、水性塗料は初心者には扱いやすくDIYに向いている塗料と言えます。
まとめ
一昔前までは、塗膜の耐久性に大きな差があった油性塗料と水性塗料ですが、最近では、油性塗料に引けを取らない耐久性を持つ水性塗料も開発され、積極的に水性塗料を使用する塗装業者も増えています。
油性塗料にするべきか水性塗料にするべきか、最終的にはお客様の好みでの選択になりますが、臭いが少なく・耐久性が劣らない最新の水性塗料に魅力を感じる方も多いことと思います。
そんな水性塗料ですが、低温での施工がしにくい・乾燥中に湿気があるとムラが出る・施工に適さない素材があるなどのデメリットもあります。
気温が低いときに塗装してしまうと硬化し難くなって十分な機能を発揮できず施工不良の原因になってしまいます。
また、乾燥中に湿気があると塗りムラ・色ムラが出やすくなります。
金属など素材によっては、塗料が付着し難く、水性塗料との相性が悪い素材が存在します。
水性塗料は、塗装を行う外壁や屋根の素材との相性の見極め、天候をしっかり見極めて塗装作業を行わなければいけないです。
職人の経験や知識、技術が不足していると施工不良が起きやすい塗料と言えます。
水性塗料で外壁・屋根の塗り替えを希望される場合は、水性塗料の扱いに長けた、十分な知識と経験、技術を兼ね備えた塗装業者に施工を依頼する必要があるのです。
私たち「ハウスペイントアゲイン」は、さまざまな塗料の扱いに長けた外壁塗装のプロ集団です。
水性塗料・油性塗料の扱いに長けたベテラン職人が、お客様のご自宅の外壁・屋根の状態を確認し、水性塗料と油性塗料のどちらが最適な塗料なのかしっかりと見極めてご提案させていただきます。
外壁・屋根の塗り替えを検討されている方、水性塗料と油性塗料の選択で悩んでいる方は、是非私たちにご相談ください。
耐久性の高さを兼ね備えた最新型の水性塗料は、油性塗料並みに耐久性が高く、臭いがなく安心して使用できる夢の塗料です。
しかし、水性塗料は職人の経験や知識、技術が不足していると施工不良が起きやすい塗料でもあります。
水性塗料を使用される場合は、水性塗料の扱いに長けた、十分な知識と経験、技術を兼ね備えた塗装業者に施工を依頼する必要があるのです。
水性塗料を使用する場合は、水性塗料の施工技術に長けた業者に依頼することが大切!
「ハウスペイントアゲイン」の外壁リフォームで実現できる3つのポイント
- 職人のプライドに掛けて、手抜き工事・欠陥工事は絶対にしない。
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